北へ帰るのを忘れた白鳥
【あらすじ】
私たちの町にある沼。
渡り鳥の仲間たちは、春になると北へ帰っていくのに、
夏のあいだもずっと沼に住んでいる白鳥の家族がいました。
翼に、釣り人が捨てたつり糸が絡みつき、飛べなくなってしまったためです。
でも、冬になって戻ってきてくれた白鳥と夫婦になり、やがてこの沼で家族が増えていきました。

卵を狙うカラスたちや、子どもを襲うのら犬など、あぶないこともありましたが、
つり糸をはずしてくれた親切な人間たちに出会ったり、
カッパや楽しい仲間がいるこの沼が、新しいふるさとになっていきました。

白鳥のリーダーは、飛べるようになったのなら北へ帰らなければ白鳥ではない、と迫りますが、白鳥夫婦がこの沼に住み続ける気持ちは、変わりません。

そんな白鳥の家族を中心に、美しい歌を奏でる沼の女神や妖精たち、カッパやうなぎの軽快おとぼけコンビ、たびたび襲ってくるカラスやのら犬、生物探検隊の子どもたちや、市民たちによる人間ドラマを重ねて、親子の心のつながり、生き物や自然を大切にしたいテーマが、描かれていきます。

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